ベルカントとは、15世紀末から18世紀にかけてイタリアで発達し、19世紀前半のロッシーニのオペラで完成をみた歌唱様式で、高度な歌唱装飾を伴うのを特徴とする。
ロッシーニ・ドニゼッティ・ベッリーニ等の19世紀前半のイタリアオペラは「ベルカントオペラ」と呼ばれる。
ベルカントという言葉は「美しい歌唱」という意味であり、17世紀前半から用いられていたが、常に懐古的な意味合いを持っていたという。「古きよき黄金時代の歌唱」と思われていたようだ。
ロッシーニの言によると、ベルカントとは@自然で美しい声A声域の高低にわたって均質な声B訓練によって高度に華麗な音楽も楽に発声できることである。